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大起証券株式週報


株式週報
2025/06/30(月)
【日本株】 通商リスク注意も底固い
日経平均株価は、4万円の節目を回復する展開になった。中東地政学リスクの消化が進み、投資家のリスク選好性が高まっている。米国株が急伸し、つれて日本株も買われている。投資家のリスク選好性が高まっていることが、株高圧力に直結している。日米通商協議は難航しており、相互関税の上乗せ分の一時停止措置に関して設けられた7月9日の期限までに、合意が形成される見通しにはない。トランプ大統領は日本からの自動車輸入に25%の関税を課し、これ以上の協議を行わない可能性も示唆している。ただし、日本株は通商リスクの織り込み再開を見送っており、米国株連動で上値追いの展開になっている。日本銀行の早期利上げ観測が後退していることもポジティブ。


米国株の値上がりを受けて、投資家のリスク選好性は高まっている。このまま米国株が堅調に推移すると、日本株も買われやすい地合になろう。4万円の節目が抵抗線として機能せず、昨年7月以来の高値を更新する中、目先の上値抵抗は4万1,000円、4万2,000円と値が飛びやすくなる。4〜6月期日銀短観で経済活動の弱さが再確認されると、日銀の利上げ着手は先送りされるとの見方が、株価をサポートしよう。景気リスクの織り込みにテーマシフトする可能性、通商リスクの蒸し返しには注意が必要。特に7月9日までに日米通商環境は改善か悪化が明確化しやすく、現状では悪化のリスクの方が高い状況にある。トランプ米大統領の発言次第では、前週に底固さが目立っていた輸出企業を中心に売りが膨らむ可能性には注意が必要。


サイコロジカルは、前週の7勝5敗から変わらず。14日RSIは74.18。


 今週の予想レンジ 3万9,500〜4万2,000円
   先週のレンジ 3万8,026〜4万0,267円
 
【米国株】 リスクオン傾向が強まる
ダウ工業平均株価は、4万3,000ドル台後半まで値上がりし、3月4日以来の高値を更新した。中東地政学リスクを取り巻く緊張緩和を受けて、投資家のリスク選好性が回復している。米軍のイラン核施設攻撃で緊張が高まっていたが、その後はイスラエルとイランが停戦合意したことで、原油相場の急反落と歩調を合わせて、株高が進行した。通商環境に関しては依然として先行き不透明感が強いが、米連邦準備制度理事会(FRB)早期利下げ観測が浮上し、米長短金利低下が進んだこともポジティブ。一部金融当局者は7月利下げの可能性に言及している。実際に7月利下げが行われる可能性は低いが、利下げ時期が接近しているとの見方が、株価を押し上げている。S&P500種、NASDAQ総合指数は過去最高値を更新している。


まだ中東情勢は不安定だが、米利下げ観測、通商環境の改善期待をテーマ化できれば、投資家のリスク選好性は維持されやすい。特にS&P500種などが過去最高値を更新したことで、もたざるリスクも警戒され始めたことはポジティブ。トランプ米大統領も、株価が過去最高値を更新していることを誇示し始めており、政治リスク織り込みの必要性は薄れている。通商環境の急変といった動きがみられると瞬間的に下押しされる可能性もあり、関税によって米実体経済や企業活動がダメージを受けていることは間違いない。しかし、このまま金利抑制が続いた状態で、通商環境の改善が進んでいるとの評価が維持されると、4万5,000ドルに迫る展開になろう。月初のISM製造業指数、雇用統計などがイベントリスクになるが、適度の減速で利下げ見通しが支持されるのであれば、株高環境に対する影響は限定されよう。


サイコロジカルは、前週の5勝7敗から7勝5敗。14日RSIは67.88。


 今週の予想レンジ 4万3,000〜4万5,000ドル
   先週のレンジ 4万1,981〜4万3,966ドル
 
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