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大起証券FX週報
ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円 エマージング通貨(南アランド/円・トルコリラ/円)
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ドル/円相場 |
2025/06/30(月) |
【米ドル】 米利下げ観測で上値重い、雇用統計に注目 |
米ドル/円相場は、1ドル=148.02まで急伸した後、143円台後半まで反落する展開になった。23日の取引では、米軍がイラン核施設を攻撃したとの報を受けて、ドルが大きく買われる展開になり、5月13日以来の円安・ドル高になった。しかし、その後はトランプ米大統領がイスラエルとイランの停戦合意を報告すると、ドルが反落しており、つれてドル/円相場も戻り売り優勢の地合に転じた。原油相場の急落もあり、ドルに対する退避ニーズが後退している。その後、マーケットの関心は米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測にシフトし、米金利低下と連動したドル安圧力が優勢になった。ドルインデックスは年初来安値を更新している。日本銀行の早期利上げ観測が後退していることがドル/円相場の下げ幅を限定したが、上値は重かった。 地政学リスクの消化が進み、マーケットの関心は金融政策環境にシフトしている。まだ中東情勢は不安定であり、更に通商環境についても動きが活発化しているが、為替市場では特に米金融政策環境に対する関心が高まっている。一部の米金融当局者は7月利下げを支持する可能性を指摘しているが、まだ関税のインフレ環境に対する影響が明らかではない現状では、利下げは急がれない見通し。ただし、インフレの急伸がみられないのであれば、9月利下げ着手は現実的な見通しになる。雇用統計にサプライズがなければ、緩やかな米金利低下・ドル安圧力が維持されよう。142円台へのレンジ切り下げが打診される見通し。ただし、日銀短観で弱めの数値になると、日銀の利上げ観測の後退が円相場を圧迫する可能性はある。ドル安環境が変わらなければ大きな上昇は見込めないが、円サイドの動向にも注目したい。 サイコロジカルは、前週の8勝4敗から変わらず。14日RSIは45.54。 今後1週間の予想レンジは、142.50〜146.00円。 |
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ユーロ/円相場 |
2025/07/01(火) |
【ユーロ】 軍事費増大とECB利下げ休止観測で底固い |
ユーロ/円相場は、1ユーロ=169円台まで値上がりする展開になった。ユーロ圏経済成長に対する期待感が強くなっている。北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、加盟国の防衛費引き上げが合意された。米国の軍事プレゼンス低下を受けて、ユーロ圏がロシアの脅威に対して独自防衛で対抗することになる。防衛支出の拡大は、ユーロ圏の景気を刺激するとの期待感が強い。ドイツ政府の2025年度予算案、さらに26年度予算枠組みでも投資拡大の方針が示されており、拡張的な財政政策が、ユーロ高圧力に直結している。また、引き続き欧州中央銀行(ECB)の利下げ休止観測もポジティブ。昨年7月以来の高値を更新している。 7月1日に6月消費者物価指数が発表される。市場予想だと、前月の1.9%上昇から2.0%上昇まで若干の上振れが見込まれているが、ECBの金融政策判断に大きな影響を及ぼすことはないとみられる。ECB当局者からも、政策変更を示唆するような発言は行われない見通し。引き続きユーロ圏の財政拡張政策、米欧金利差縮小の動きが、ユーロを下支えする展開が続こう。米国が年後半に利下げに着手するとの観測が米金利低下を促しており、特に対ドルではユーロ買い圧力が強まりやすい。ドル/円相場は上値の重さが目立つが、ユーロ/円相場に関してはユーロ高圧力の強さから、このまま押し目買い優勢の展開が維持される見通し。170円の節目を上抜くと、171.50円水準まで上値を切り上げる可能性がある。地政学リスク、通商リスクなどで突発的なリスクオフ圧力が発生すると、下振れするリスクが浮上する。 サイコロジカルは、前週の9勝3敗から7勝5敗に。14日RSIは67.38。 今後1週間の予想レンジは、168.00〜171.50円。 |
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豪ドル/円相場 |
2025/07/02(水) |
【豪ドル】 リスクセンチメントに依存、じり高傾向か |
豪ドル/円相場は、1豪ドル=94〜95円水準をコアに売買が交錯する展開になった。米ドル安の提供で対米ドルでは豪ドル相場の上昇が続いたが、豪ドル/円相場は小動きに終始した。中東情勢の消化が進む中、世界的な株高傾向はポジティブ。米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ期待は、米ドル安と促すと同時に世界的な株高も促しており、資源国通貨は物色されやすい環境にあった。ただし、豪ドル/円相場に関しては底固いものの小動きに留まった。5月消費者物価異数は前年比2.1%上昇であり、前月の2.4%上昇から大きく低下した。これによって豪中央銀行が7月に追加利下げが浮上していることはネガティブだが、金融政策要因で豪ドル相場を売り込むような動きはみられなかった。 リスク投資のセンチメントに強く左右されやすい。トランプ米政権の相互関税上乗せの一時停止措置が7月9日までとなっていることで、通商環境が大きく揺れ動く可能性には注意が必要。リスクオフ化がすすむようであれば、93円水準までの値下がりリスクは想定しておきたい。ただし、株価が大きく値を崩すようなことがなければ、このまま豪ドル相場は資源価格との連動で底固く推移しよう。大きく上昇する見通しにはないが、96円水準までは上値をみておきたい。7月8日の豪中央銀行理事会が目先のイベントリスクになるが、仮に利下げ対応が合意されても、金融政策要因で豪ドル相場を大きく下押しする動きは見送られる見通し。 サイコロジカルは、前週の6勝6敗から7勝5敗に。14日RSIは57.15。 今後1週間の予想レンジは、93.00〜96.00円。 |
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エマージング通貨相場(南アランド/円・トルコリラ/円・メキシコペソ/円) |
2025/06/26(木) |
【南アランド】 リスクオン環境だとじり高 |
南アフリカランドは、1ランド=8.1〜8.2円水準まで小幅上昇している。中東情勢は大きく揺れ動いたが、イスラエルとイランの停戦合意が実現し、投資家のリスク選好性が回復している。世界的に株価が上昇し、ランド相場は対ドルを中心に地合を引き締めた。新興国通貨が改めて物色されている。ドル/円相場の軟化でランド/円相場は大きな値動きには発展しなかったが、それでもじり高の展開になった。プラチナとパラジウム相場が高騰しているが、ランド相場を物色する動きにはつながらなかった。5月消費者物価指数は前年比2.8%上昇と、前月から変わらなかった。インフレ目標引き下げ、もしくは追加利下げが求められよう。 このまま投資家のリスク選好性が維持されると、ランド/円相場は横ばいから小幅高の展開になろう。新興国通貨が物色されやすい環境にある。目先は特に大きなイベントは予定されておらず、リスク投資の地合に強く左右されよう。地政学リスクや通商リスクの蒸し返しによるリスクオフ化の際には調整売りが膨らむリスクを抱えるが、そうした動きがみられなければ8.2〜8.3円水準を窺う展開になろう。 今後1週間の予想レンジ 8.00〜8.30円/ランド 過去1週間のレンジ 8.01〜8.21円/ランド |
【トルコリラ】 利下げ見送りでも上値重い展開 |
トルコリラは、1リラ=3.6円台でやや上値の重い展開になった。中東地政学の緩和が進んだが、リラ相場に対する影響は限定された。リスクオン環境でもリラヲ買い進むような動きはみられず、一貫してじり安の展開になっている。大きく値を崩してはいないが、上値の重さを維持している。トルコ中央銀行は6月19日、政策金利を46%で据え置いた。5月の基調的物価上昇率が減速していると報告しており、改めて利下げサイクル入りする可能性が高いが、今会合では政策調整を見送った。マーケットへの影響は限定的だった。 売買材料に関係なく、上値の重い展開が続いている。急落対応はみられないが、リスクオンとリスクオフ、ドル高とドル安の関係なく、下値模索の展開になっている。引き続き大きな値動きを想定する必要性は乏しいが、このまま横ばいからじり安の展開が続く見通し。6月30日に5月失業率、7月3日に6月消費者物価指数が発表されるが、リラ相場に対する影響は軽微だろう。サプライズ的な動きの有無が注目される程度になる。 今後1週間の予想レンジ 3.55〜3.75円/リラ 過去1週間のレンジ 3.61〜3.72円/リラ |
【メキシコペソ】 リスクオンだと底固い、追加利下げの見通しも |
メキシコペソは、1ペソ=7.6円台をコアに底固く推移した。中東地政学リスクの軽減評価から、世界的な株価が底固く推移したことがペソ/円相場も支援している。原油相場が急伸から一転して急反落しているが、ペソ相場に対する影響は限定された。4月小売売上高は前月比1.0%減と低調な数値になったが、ペソ相場に対する影響は軽微だった。メキシコ経済動向よりも、リスク投資のセンチメントに強く左右される展開になる中、世界的な株高傾向がペソ相場も支援した。 6月26日にメキシコ中央銀行の金融政策会合が開催される。ディスインフレと景気減速傾向を受けて、5月に続く0.50%の利下げが見込まれている。8.50%から8.00%までの利下げが行われると、年初からの累計の利下げ幅は1.50%に達する。当然に政策金利の低下はペソ相場に対してネガティブだが、世界的に金利低下圧力が強まるかあ、仮に8.00%まで利下げされてもペソの魅力は維持されよう。リスクオン環境が維持できれば、ペソ相場も緩やかな上昇地合になる見通し。7.47円を上抜くと、チャート主導の買いも膨らみやすくなる。 今後1週間の予想レンジ 7.55〜7.80円/ペソ 過去1週間のレンジ 7.57〜7.70円/ペソ |
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