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大起証券FX週報


ドル/円  ユーロ/円  豪ドル/円  エマージング通貨(南アランド/円・トルコリラ/円)

※全レポートおよびファイルの無断転載を固く禁じます。

ドル/円相場
2024/07/22(月)
【米ドル】 上値重いが方向性を欠く、持高調整のニーズ残る
米ドル/円相場は、1ドル=155.36円まで下落して6月7日以来の円高・ドル安となった後、157円台中盤まで切り返す展開になった。7月11日、12日に日本政府・日本銀行が円買い・ドル売り介入に踏み切った余波が続き、ドル買い・円売りポジションに調整が入っている。介入は一服した模様だが、157〜159円水準での保ち合いを経て、一段安になった。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が強化されていることもネガティブ。複数の米金融当局者が利下げに言及し始めており、9月利下げ開始が決定的な状況と評価されている。ただし、週後半は米金利低下・ドル安が一服し、ドル/円相場も安値から2円超の切り返しとなる不安定な地合が続いた。


今週は米金融当局者の発言が禁止されるブラクアウト機関とあって、手掛り難から大きくは仕掛けづらい地合になる。ただし、まだ持高調整を進める余地は残されており、上昇余地は限定されよう。まだ突然にドル買い・円売りポジションの解消が進む可能性を排除できない。ただし、円売りの構図そのものが崩れた訳ではなく、徐々に下値は固まる方向性になろう。そのプロセスにおける持高調整が中心の展開になる見通し。7月25日には4〜6月期の米国内総生産(GDP)が発表されるが、米金融政策見通しに対する影響は限定される見通し。注目されるのは7月26日の6月米PCEデフレーターの方であり、ディスインフレ傾向が再確認されると、米金利低下・ドル安圧力が強まる可能性がある。ただし、最近の傾向として米金利動向のドル/円相場に対する影響は限定される傾向が強く、160円水準が目先の抵抗線になる一方、155円割れからの下落余地は限定されよう。上下双方に方向性を打ち出しづらい。


サイコロジカルは、前週の7勝5敗から変わらず。14日RSIは42.81。


今後1週間の予想レンジは、154.50〜160.00円。
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ユーロ/円相場
2024/07/23(火)
【ユーロ】 円高傾向が続くと170円割れを意識
ユーロ/円相場は、1ユーロ=170円台まで下落する展開になった。7月11日には175.42円まで円安・ユーロ高が進行していたが、日本政府・日本銀行が円買い・ドル売り介入に踏み切ったことを受けて、ドル/円相場と連動でユーロ/円相場も下落した。対ドルでは底固い展開が続いているが、ユーロ/円相場に関しては専ら円サイドの要因で弱含む展開になっている。対ドルに限らず、対ユーロでも円買い介入が行われる可能性が意識されている。一方、7月18日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催されが、2会合ぶりに政策金利を据え置くことが決まった。マーケットの関心は9月利下げの有無だったが、ラガルド総裁は「特定の道筋を確約しない」として明言を避けた。アイルランド中央銀行総裁が急激な金利行動は不要と発言する一方、スロバキア中央技巧総裁は年内2回の追加利下げ予想は見当違いではないと発言している。


円買い介入再開のリスクに加えて、円売りポジション解消の動きも強く、暫くは戻り余地が限定される。特に株価の軟調地合が続いている間は、円ロングを拡大させることが難しい地合が続きやすい。ECBが年内にどの程度の追加利下げに踏み切るのかが見えてこない以上、円やドルの動向に強く左右される地合が続く見通し。ただし、日本銀行が追加利上げに動く可能性が高い一方、ECBは年内利下げ観測が強く、ユーロの上値は抑えられやすい展開が続く。特に株式相場が不安定な地合を続けると、170円割れを意識した展開になる見通し。


サイコロジカルは、前週の7勝5敗から5勝7敗。14日RSIは40.44。


今後1週間の予想レンジは、168.50〜172.00円。
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豪ドル/円相場
2024/07/24(水)
【豪ドル】 自律反発が促されやすいが、先高感は乏しい
豪ドル/円相場は、1豪ドル=101円台後半まで急落する手内になった。米ドル/円相場が上げ一服となる中、豪ドル/円相場も上値の重い展開になった。対米ドルで円売りポジションの調整が進んでいることが、嫌気されている。また、7月15〜18日に中国共産党の三中全会が開催されたものの、景気減速圧力に対して目立た対応を見せなかったこともネガティブ。事前のマーケットの期待感は低かったが、それでも実際にマーケットフレンドリーな施策が打ち出されなかったことに対する失望感は強い。中国人民銀行(中央銀行)は想定されていなかった利下げに生み切るも、景気下支え効果は不充分との評価が優勢になっている。コモディティ市場全体が中国経済リスクを織り込む中、豪ドルも資源国通貨の目線で上値を抑えられた。


6月雇用統計では、就業者数が前月比5.0万人増となり、正規雇用者数は2ヵ月連続で大きく増加した。失業率は4.0%から4.1%まで上昇したが、これは求職者数の増加を反映したものであり、強弱評価が割れる。7月31日の4〜6月期消費者物価指数が大きく上振れするようなことがなければ、8月の豪金融政策の修正もないだろう。円安修正の動き、中国経済の減速懸念の二点が、豪ドル/円相場を下押しする環境になっている。少なくとも米ドル/円相場が落ち着きを取り戻すまでは、下値不安が残される。日米金融政策会合を控えていることで、ドル/円相場が下げ渋ると豪ドル/円相場も下げ渋る展開になるが、中国経済減速を受けての上値圧迫が残される見通し。オシレーターは完全な売られ過ぎの状態にあるため、自律反発のリスクは高めの状態にある。


サイコロジカルは、前週の8勝4敗から3勝9敗。14日RSIは24.11。


今後1週間の予想レンジは、100.00〜105.00円。
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エマージング通貨相場(南アランド/円・トルコリラ/円・メキシコペソ/円)
2024/07/25(木)
【南アランド】 リスクオフ環境の行方に注目
南アフリカランドは、1ランド=8.2円台まで急落する展開になった。リスクオフ環境に移行する中、新興国通貨全体が売り込まれている。この流れでランド/円相場も上値の重い展開になった。南アフリカ中央銀行は7月18日の金融政策鵜会合で、政策金利を8.25%で据え置いた。7会合連続の据え置きになるが、メンバー4人が金利据え置き、2人が利下げを主張したことが確認された。利下げを巡る議論が活発化するも、その前に数回にわたるインフレ率低下を望んでいるとされた。


リスクオフの一点で急落している。新興国通貨のリスクを取れる環境ではなくなっている。何か大きなネガティブ材料が浮上している訳ではないが、7月30〜31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)などを境に、マーケット環境が沈静化に向かうのかが焦点になる。株安・円高環境では、ランド/円相場が反発する余地は乏しい。株価が落ち着きを取り戻すと押し目買いが入りやすいが、暫くは持高調整が優先される地合になる。南アフリカ経済環境ではなく、世界の株価動向が重視される地合になる。


 今後1週間の予想レンジ 7.80〜8.50円/ランド
   過去1週間のレンジ 8.21〜8.64円/ランド
 
【トルコリラ】 リスクオフの売り優勢、株安一服だと反発も
トルコリラは、1リラ=4.6円台まで下落する展開になった。リスクオフ環境と円高環境を背景に、他新興国通貨と同様にリラ/円相場も下値模索の展開になった。投資家のリスク選好性後退を受けて、新興国通貨のポジションを圧縮する動きが優勢になった。7月23日にトルコ中央銀行の金融政策会合が開催されたが、政策金利は50.00%で据え置きになった。ディスインフレが強まるとの見通しを示すも、インフレリスクに生き続き最新の注意を払うとして、政策調整は急がないスタンスが示されている。マーケットでも当面の政策変更は行われないとの見方が強い。7月22日、格付け会社ムーディーズは「B3」から「B1」に格付けを引き上げた。金融引き締めや政治体制の改善が評価されている。


リスクオフ環境が新興国通貨を圧迫している。このため、マーケット全体のボラティリティが抑制されるまでは、トルコ経済環境に関係なく下振れリスクを抱える。株価が安定化すると値ごろ感から押し目買いが入りやすい環境にあるが、新興国通貨に投資可能なマーケット環境に回帰することが、リラ相場反発に求められる。月末に向けて、株安・円高の一服がみられるのかが最優先される。


 今後1週間の予想レンジ  4.40〜4.75円/リラ
   過去1週間のレンジ  4.58〜4.77円/リラ
 
【メキシコペソ】 政治環境不安定も、安値修正フェーズ
メキシコペソは、1ペソ=8.2円台まで急落する展開になった。リスク投資の地合が不安定化する中、新興国通貨全体から資金を引き上げる動きが優勢になった。ドル/円相場の急落もあり、ペソ/円相場も上値圧迫している。メキシコ経済の独自材料は乏しかったが、リスクオフの一点でペソは急落した。5月小売売上高は前月比0.1%増と低調だったが、特に材料視されることはなかった。米大統領選でトランプ前大統領が勝利すると、メキシコ国境の壁建設再開が確実視されているが、事前に政治リスクを織り込んでいくような動きは限定された。?


リスクオフからの新興国通貨売りの流れが重視されている以上、マーケット環境の鎮静化の有無が最大の焦点になる。7月30〜31日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるが、米金利抑制傾向がマーケット全体のボラティリティを抑制し始めると、改めて買いが膨らみやすい。高金利通貨としての魅力が損なわれた訳ではない。ただし、まだリスクオフ圧力が収束したかは確認できる、ドル円も底打ちを確認するには至っていない。持高調整を消化しつつ、マーケット環境全体の鎮静化待ちになる。7月30日に国内総総生産(GDP)が発表される。


 今後1週間の予想レンジ 7.60〜8.60円/ペソ
   過去1週間のレンジ 8.22〜8.83円/ペソ
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※ドル/円は月曜日、ユーロ/円は火曜日、豪ドル/円は水曜日、エマージング通貨は木曜日に更新予定。
休日の際は、更新をお休み致します。
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