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大起証券FX週報


ドル/円  ユーロ/円  豪ドル/円  エマージング通貨(南アランド/円・トルコリラ/円)

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ドル/円相場
2025/08/18(月)
【米ドル】 上値重いが小動き、ジャクソンホール会議で動きあるか
米ドル/円相場は、1ドル=147円台をコアに売買が交錯する展開になった。米連邦準備制度理事会(FRB)の9月利下げ見通しが上値を圧迫しているが、強めのインフレ指標が下値を支え、明確な方向性を打ち出せていない。8月1日に発表された7月雇用統計では、トランプ米政権の関税発動後の雇用市場の急減速が確認された。このため早期利下げ観測が勢い付いているが、一方で関税によるインフレ懸念も同時に高まっており、利下げ先送りが妥当との見方も根強い。消費者物価指数は大きな変動を回避しているが、卸売物価指数の急上昇は、企業が関税コストの吸収ができなくなり、コスト転嫁を始めた可能性を強く示唆している。マーケットは9月利下げ、更に年内2〜3回の利下げ見通しを前提にしているが、米金利低下・ドル安には一服感もあり、ドル/円相場は上値が重いながらも明確な方向性を打ち出せなかった。


米利下げ観測がドル/円相場の上値を圧迫する展開が続くが、既に9月利下げの織り込みはほぼ終了しているため、急落対応の必要性は乏しい。緩やかな値下がりを打診する展開を想定したい。イベントリスクとしては、8月20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公開される。政策金利の変更を見送ったが、利下げを主張して2人が反対しており、実際にFOMC内で利下げの議論が活発化していることが確認できると、上値の重さが再確認されよう。また、21〜23日にはジャクソンホール会議が開催される。22日にパウエル
FRB議長の講演が予定されている。これまで、パウエル議長はインフレリスクから利下げに慎重な発言を繰り返してきたが、ここで従来よりも利下げに積極的な姿勢が示されたと評価されると、145円近辺まで下押しされる可能性が高まる。


サイコロジカルは、前週の5勝7敗から変わらず。14日RSIは49.79。


今後1週間の予想レンジは、145.00〜149.00円。
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ユーロ/円相場
2025/08/19(火)
【ユーロ】 上げ一服も横ばい気味、ジャクソンホールに注目
ユーロ/円相場は、1ユーロ=171〜173円水準で売買が交錯する展開になった。積極的な売買は見送られ、持高調整が中心の展開になった。8月15日の米露首脳会談が注目されたが、ユーロに対する影響は限定された。米露首脳会談では停戦合意には至らなかったが、一方で緊張感を高めるような動きにも至らず、地政学リスク主導の売買は見送られている。18日にはトランプ米大統領とウクライナと欧州首脳が協議を行っているが、緊張緩和への取り組みが強化される一方で、停戦や和平といった成果につながっていくのかは不透明感が強い。ユーロサイドの売買材料を欠く中、ドルや円相場の動向が重視されているが、ドル/円相場も値動きが鈍く、積極的な売買は見送られた。


今週は21〜23日にジャクソンホール会議が開催される。ユーロ圏では利下げ対応一巡で当面の政策調整は想定されておらず、8月22日のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)の発言がドルや円相場に与える影響が注目される。ここでドル/円相場が大きく揺れ動く展開が見送られるのであれば、ユーロ/円相場もこのまま170円台前半での取引になろう。8月21日の8月製造業・サービス業PMIもイベントリスクとして注目され、景気減速傾向が再確認される見通し。ただし、余程のサプライズがなければ追加利下げの議論が活発化することはないだろう。積極的に売買を仕掛けるテーマを欠く中、年初来高値のある174円水準を上値目途、170〜171円水準を下値目途とした取引を想定したい。


サイコロジカルは、前週の6勝6敗から7勝5敗に。14日RSIは55.19。


今後1週間の予想レンジは、170.50〜174.00円。
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豪ドル/円相場
2025/08/20(水)
【豪ドル】 資源安で上げ一服感、リスクオンが下値支えるも
豪ドル/円相場は、1豪ドル=96.77円で上げ一服となり、95円水準まで軟化している。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待、リスクオン環境など豪ドルが上昇する余地もあったが、調整売りが優勢になった。8月14日に発表された雇用統計では雇用者数が前月比6.05万人増と、前月の3.66万人減からプラスに転じ、一定の底固さを見せたことはポジティブ。このため、豪中央銀行の急ピッチな利下げ対応は不要とみられるが、依然として緩やかな利下げが必要との見方は強く、豪ドル相場の上値は圧迫された。また、中国の7月経済指標が低調な数値になり、鉄鉱石や原油などが弱含みんでいることもネガティブ。リスクオン環境だが、資源安が進行したことが、豪ドル相場の上値を圧迫し、
調整売り優勢の展開になった。


資源価格の上値が重くなり、つれて豪ドル相場の先高観も後退している。豪中央銀行の利下げが緩やかなペースに留まること、リスクオン環境が下値を支えるが、鉄鉱石相場の軟化傾向が続いた場合に、豪ドル相場を大きく押し合上げていくことは難しい。97円水準では上値を抑えられる展開になろう。4月上旬から値上がり傾向が続いてきたが、このまま資源安による調整売りが上値を圧迫する展開を基本にしたい。ただし、リスクオン環境が資源国通貨をサポートする動きも続くため、上げ一服後の調整売り優勢ながらも、93〜94円水準が下値目途に留まる見通し。高値ボックス型の展開に移行する見通し。


サイコロジカルは、前週の9勝3敗から6勝6敗に。14日RSIは41.14。


今後1週間の予想レンジは、93.50〜96.50円。
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エマージング通貨相場(南アランド/円・トルコリラ/円・メキシコペソ/円)
2025/08/14(木)
【南アランド】 リスクオン環境が続くと、年初来高値更新へ
南アフリカランドは、1ランド=8.4円台に乗せて年初来高値を更新した後、8.3円台前半まで上げ幅を削る展開になった。投資家のリスク選好性が高まる中、世界的な株高環境と連動して押し目買い優勢の展開が維持された。高金利通貨新興国通貨などが物色され易いマクロ環境になった。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が強化されていることで、米金利・ドルの上値が圧迫されたことも、ランド相場にはポジティブ。特に対ドルでの地合の強さが目立った。4〜6月期失業率は前期の32.9%から33.2%まで上昇した。今後はトランプ米政権の関税の影響で更に厳しい経済環境が想定されることはネガティブ。


投資家のリスク選好性に強く左右される展開になる。このまま世界的に株高環境が続くと、ランド/円相場も押し目買い優勢の展開になろう。政策金利は今年に入ってから0.75%引き下げられたとは言え、7.00%と高水準を保っている。特にドル安環境では、引き続き新興国通貨や高金利通貨が物色されやすい。8月20日に発表されるインフレ指標がイベントリスクになるが、そこで大幅利下げが要求されるようなことがなければ、改めて8.4〜8.5円水準を打診する見通し。


 今後1週間の予想レンジ 8.20〜8.50円/ランド
   過去1週間のレンジ 8.24〜8.42円/ランド
 
【トルコリラ】 リスクオンでも売り優勢、先安観を維持
トルコリラは、1リラ=3.6円水準で売買が交錯する展開が続いている。ドルは利下げ期待の高まりで上値の重い展開が続いているが、ドル売り・リラ買いを進めるような動きは見られなかった。投資家のリスク選好性が高まっているが、リラに関しては新興国通貨の目線で物色していくような動きも確認できない。6月鉱工業生産は前月比0.7%増と前月の3.2%増から伸びが鈍化したが、特に材料視されていない。家計消費は底固いが、経常収支の赤字圧力が強く、マクロ経済環境がリラ相場の上値を圧迫する展開が維持されている。


8月15日に米露首脳会談が開催されるため、ウクライナ停戦期待が強まると地政学リスクの軽減がリラ相場の一時的な上昇を促す可能性はある。しかし、そうした地政学環境の大幅な改善がみられないのであれば、このまま上値の重い展開が続く見通し。株高環境で投資家のリスク選好性が高まっていることで新興国通貨は物色されやすい環境だが、それでもリラが物色されなかったことは、依然としてリラに対する投資ニーズは高まっていないことを示している。3.55円水準を割り込むと、チャート主導の売りも膨らみやすくなる。


 今後1週間の予想レンジ  3.50〜3.70円/リラ
   過去1週間のレンジ  3.57〜3.65円/リラ
 
【メキシコペソ】 追加利下げの影響軽微、8円台乗せ試す
メキシコペソは、1ペソ=7.97円まで切り返した後、7.8円台中盤まで軟化する展開になった。リスクオン環境を背景に新興国通貨・高金利通貨が物色される中、8.0円の節目に迫る展開になった。しかし、8円台へのレンジ切り上げは見送られ、その後は調整売りで上げ一服となっている。ドル安環境も新興国通貨にはポジティブだが、高値圏で売買が交錯する展開になった。メキシコ中央銀行は、政策金利を0.25%引き下げて7.75%とした。6月までは4会合連続で0.50%の利下げを実施していたが、同時に利下げペースの鈍化見通しも示していたため、予想されていた通りの結果になる。ヒース副総裁は利下げに反対票を投じており、メキシコの利下げサイクル終了が近づいていることが示唆されたことはポジティブ。


このままリスクオン環境が維持されると、押し目買い優勢の展開になりやすい。メキシコの政策金利は依然として高いことに加えて、ドル安環境にある中、特に対ドルでペソ買いが続きやすい。ペソ/円相場についても、ドル/円相場の急落といった動きが見られなければ、改めて8.0円の節目突破を打診する展開になろう。目立ったイベントは予定されていないが、リスクオン環境が維持されている間は、上振れリスクを想定したい。


 今後1週間の予想レンジ 7.75〜8.10円/ペソ
   過去1週間のレンジ 7.83〜7.97円/ペソ
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※ドル/円は月曜日、ユーロ/円は火曜日、豪ドル/円は水曜日、エマージング通貨は木曜日に更新予定。
休日の際は、更新をお休み致します。
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