コモディティ・金融情報専門サイト
asumiru.com

大起証券FX週報


ドル/円  ユーロ/円  豪ドル/円  エマージング通貨(南アランド/円・トルコリラ/円)

※全レポートおよびファイルの無断転載を固く禁じます。

ドル/円相場
2025/10/06(月)
【米ドル】 「高市トレード」で波乱も、短期テーマ止まりか
米ドル/円相場は、1ドル=150円水準で抵抗を受けた後の戻り売りが優勢になり、147円水準まで下落した。しかし、週末の自民党総裁選で高市氏が勝利すると、円が大きく売られる展開になり、8月4日以来の150円台回復となった。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測の強さから、150円に抵抗を受けた後は戻り売り優勢の展開になった。日銀短観が強めになったことで日銀の追加利上げ観測が強まったこともあり、日米金融政策見通しの違いが、ドル売り・円買いを促した。しかし、自民党総裁選での高市氏の勝利は海外投資家を中心にサプライズ感が強く、週明け後は主要通貨に対して円が売られる展開になった。高市氏は、金融政策にも責任を持つ姿勢を示しており、政府と日銀の意思疎通が進まない状況では、日本銀行が追加利上げに慎重になるとの見方が強まった。


高市氏の発言内容が注目されるが、短期的には日銀早期利上げ観測の後退、さらに積極的な財政出動による財政規律の緩みに対する警戒感が円売り要因として機能する。150円の節目が抵抗線にならず、目先は8月4日高値150.91円が打診される。ただし、ドル/円相場の基調としては、引き続き米金利・ドルの動向が重視されやすく、FRBの追加利下げ観測が維持されるのであれば、ドル/円相場の上昇は短期的なものに留まりやすい。急激な円安に対しては米国側からもけん制の動きが想定される。一方で、FRBが今月に追加利下げに踏み切ることはほぼ織り込みが終わっている。8日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨がイベントリスクになるが、米政府機関閉鎖の影響もあってドル安基調に変わりはないだろう。いわゆる「高市トレード」がどの程度持続するのかは不透明感が強いが、短期テーマに留まる見通し。


サイコロジカルは、前週の5勝7敗から変わらず。14日RSIは61.61。


今後1週間の予想レンジは、148.00〜152.00円。
icon PDF版



ユーロ/円相場
2025/10/07(火)
【ユーロ】 フランス政局混乱も、円安主導の堅調地合
ユーロ/円相場は、1ユーロ=172.25円まで値下がりした後、176円水準まで切り返す展開になった。欧州中央銀行(ECB)の利下げ対応には一服感が強まるも、ドル/円相場の反落を受けて、ユーロ/円相場も175円水準をピークに反落した。ユーロ/ドルの値動きが鈍く、ドル/円と同様にユーロ/円相場も、円主導の売買環境が続いた。しかし、10月4日の自民党総裁選で高市氏の勝利が伝わると、積極財政への警戒感、日本銀行の追加利上げの不透明感が押し目買いを誘い、逆に年初来高値を更新する展開になった。米政府機関閉鎖、フランス政局の混乱でもユーロ/ドルは小動きが続いたが、ドル/円相場と同様にユーロ/円相場もいわゆる「高市トレード」で大きく値位置を切り上げる展開になった。


暫くは高市氏や周辺人物の発言内容に揺れ動く展開になるが、一旦は主要通貨に対する円買いポジションを解消する動きが優勢になっている。日本銀行の今月の追加利上げ観測も後退し、高市氏がどのような施策を打ち出すのか、様子見傾向が強まりやすい。フランスでは10月6日、ルコルニュ首相が新内閣発表から数時間後に辞任を表明した。財政面で与野党対立が続いており、安定的な政治運営が難しい状況になっている。相次ぐ連立政権の崩壊は、フランス政治が機能不全の状態に陥っていることを再確認させるが、潜在的なユーロ安要因との評価に留まる。ユーロよりも円の動向が重視される地合になる。「高市トレード」んお展開状況次第では昨年高値を上抜いた流れで、177円水準まで上値を切り上げる可能性がある。ただし、円売り圧力は思惑先行であり、ドル/円相場の値動きが鈍化すると、ユーロ/円相場も上げ一服となろう。


サイコロジカルは、前週の7勝5敗から変わらず。14日RSIは66.32。


今後1週間の予想レンジは、174.00〜177.50円。
icon PDF版



豪ドル/円相場
2025/10/08(水)
【豪ドル】 円主導の展開に、豪ドルは高値安定するも
豪ドル/円相場は、1豪ドル=96.97円まで値下がりした後、100円の節目まで切り返す展開になった。100円の節目回復は昨年11月以来のことになる。豪中央銀行が利下げに慎重姿勢を見せるも、10月3日にかけては上値の重い展開が続いた。中国がオーストラリアからの鉄鉱石輸入を一時停止する措置を発動したこと、鉄鉱石や石炭相場がやや上値の重い展開になったこと、さらに米ドル/円相場の軟化を受けて、豪ドル/円相場は調整売りが上値を抑えた。年初来高値圏は維持したものの、上げ一服感が目立った。しかし、10月4日の自民党総裁選で高市氏が勝利すると、主要通貨に対して円が急落し、米ドル/円相場と同様に豪ドル/円相場も急伸地合に転じた。対米ドルでは調整売りが優勢だったが、専ら円サイドの要因で地合を引き締めた。


円の値動きが激しく、まずは「高市トレード」の円安がどの程度の広がりを見せるのかが注目される。高市氏の積極財政を志向するスタンスが、財政環境を悪化させるとの懸念が円相場の急落を促している。しかし、思惑先行の値動きとあって高市氏や周辺人物の発言によってさらに円が急落するリスク、急反発するリスク共に抱えている。円の動向を見ながらの不安定な地合いが続きやすい。一方で、豪ドル相場そのものは目立ったネガティブ材料が見当たらない。豪中央銀行は当面の利下げ対応を終えた模様であり、改めて景気リスクを大きく高めるような動きがみられないのであれば、暫くは大規模な政策調整は求められない。支持線は98円まで切り上がる一方、上値目途は101〜102円になろう。


サイコロジカルは、前週の6勝6敗から8勝4敗に。14日RSIは73.31。


今後1週間の予想レンジは、98.00〜101.50円。
icon PDF版



エマージング通貨相場(南アランド/円・トルコリラ/円・メキシコペソ/円)
2025/10/09(木)
【南アランド】 円安の持続力に注目
南アフリカランドは、1ランド=8.49円まで値下がりした後、8.9円水準まで急反発する展開になった。ドル安の一服感もあって調整売りが上値を抑える展開になっていたが、10月4日の自民党総裁選で高市氏が勝利すると主要通貨に対して円が急落し、ランド/円相場も急伸した。昨年7月以来の高値を更新している。南アフリカの独自材料は乏しい。金やプラチナ相場が高騰していることはポジティブだが、産金国通貨としてランドを大きく買い進むような動きは見られなかった。南アフリカ貿易収支環境への影響は限定的
との見方が強かった。


円相場の値動きがあまりに激しく、目先は円安一服の有無が注目される。いわゆる「高市トレード」がどの程度の広がりを見せるのかが、ランド/円相場の焦点になる。ただし、米利下げ観測が維持されるのであれば、新興国通貨が物色されやすい環境は維持される。10月28〜29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて追加利下げ観測が維持されるのであれば、円安一服後もランド/円相場は底固さを維持しよう。急激な年安が続くと昨年高値8.98円突破から9円台乗せが打診される。円安一服の際には、上げ一服後の調整売り優勢の地合に移行する。


 今後1週間の予想レンジ 8.70〜9.10円/ランド
   過去1週間のレンジ 8.49〜8.91円/ランド
 
【トルコリラ】 円の値動き鈍化すると、上げ一服
トルコリラは、1リラ=3.50円まで値下がりして年初来安値を更新した後、3.6円台中盤まで切り返す展開になった。トルコの政治リスクの高さから下値模索の展開が続いたが、 10月4日の自民党総裁選で高市氏が勝利すると主要通貨に対して円が急落し、リラ/円相場も安値修正の動きが優勢になった。対ドルでは一貫して値下がりしているが、リラ安よりも円安圧力が強まった結果、リラ/円相場は久しぶりに大きく反発した。9月消費者物価指数は前年比33.29%上昇であり、前月の32.95%上昇から伸びが加速した。大幅利下げの妥当性が疑問視されるが、リラに対する影響は限定的だった。


円相場の値動きが激しく、急激な円安環境が続いている間は、リラ/円相場も底固く推移する。上値抵抗は3.7円台まで切り上がる。ただし、専ら円急落に基づく値動きであり、円相場の値動きが鈍化すると、徐々に円売りよりもリラ売りが優勢になり、上値の重さを再確認する見通し。10月9日に8月鉱工業生産、10日に8月小売売上高が発表されるが、リラ相場に対する影響は限定される見通し。一貫したリラ安圧力に対して、円安が一時的にブレーキを掛ける動きに留まる見通し。


 今後1週間の予想レンジ  3.55〜3.75円/リラ
   過去1週間のレンジ  3.50〜3.67円/リラ
 
【メキシコペソ】 円安で上昇加速、円安一服後は高止まり
メキシコペソは、1ペソ=7.95円まで下落した後、8.3円台まで急伸する展開になった。日本の財政懸念、日本銀行の利上げ見通しの不確実性から円が急落し、ペソ/円相場も急伸した。対ドルでは目立った動きを見せておらず、専ら円安要因の値上がりになっている。シェインバウム大統領は10月5日、就任1年目の演説で米国などとの間で有利な貿易合意を達成することに自信を示しているが、具体的な内容はなく、ペソ相場に対する影響は限定された。米利下げ観測もあって高値圏での推移が続いているが、ペソ/円相場はそこに円安の支援も加わった状態にある。


10月9日の9月消費者物価指数がイベントリスクになるが、追加利下げを急がせるような内容になる可能性は低い。やや強めの数値が想定されることはポジティブ。また、月末に向けて米追加利下げ観測、リスクオン環境が維持されると、対ドルでも堅調地合が続きやすい。ペソ/円相場は円の値動きに強く左右されるため8.4円台までのレンジ切り上げのリスクを抱えるが、円相場の値動きが鈍化すると、ペソ/円相場も落ち着きを取り戻す見通し。円安の支援がなくても底固い展開が続きやすいが、円安の支援が一服すれば値動きは鈍化する。下落リスクとしては、米政府機関閉鎖の長期化によるリスクオフ化を警戒したい。


 今後1週間の予想レンジ 8.10〜8.50円/ペソ
   過去1週間のレンジ 7.95〜8.34円/ペソ
icon PDF版





※ドル/円は月曜日、ユーロ/円は火曜日、豪ドル/円は水曜日、エマージング通貨は木曜日に更新予定。
休日の際は、更新をお休み致します。
※PDF版の閲覧にはAdobe Readerのインストールが必要です。
※レポート内容に関してのご質問等にはお答えできませんのでご了承ください。
※全レポートおよびファイルの無断転載を固く禁じます。



.