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大起証券FX週報


ドル/円  ユーロ/円  豪ドル/円  エマージング通貨(南アランド/円・トルコリラ/円)

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ドル/円相場
2024/04/22(月)
【米ドル】 155円を巡る攻防、底固いが円買い介入警戒
米ドル/円相場は、1ドル=154円台まで値上がりする展開になった。米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測が一段と後退したことを受けて、米金利上昇・ドル高圧力が優勢になった。パウエルFRB議長は、インフレが目標に向かって進展していないとして、利下げを先送りする可能性に言及している。今後の金融政策について明確なガイダンスを示すことはなかったが、従来のように年内利下げ見通しを確認することはなかった。1〜3月期のインフレ率が強めの数値になっていることで、マーケットも初回利下げ時期が従来想定の6月ではなく9月、年内利下げ回数は同3〜4回ではなく1〜2回との見方に修正している。ただし、155円台では日本当局の円買い介入が行われるとの見方が強く、154円台では上げ一服となった。一方、中東情勢が緊迫化するも、円高圧力は一時的だった。


米早期利下げ観測の後退で米長短金利が高止まりしやすく、必然的にドル/円相場も高止まりが続きやすい。25日の1〜3月期米国内総生産(GDP)、26日の3月PCEデフレーターなどがイベントリスクになるが、急激にディスインフレ期待を高めるような内容にはならないだろう。ドルサイドの要因では、底固い展開が続きやすく、155円台へのレンジ切り上げが打診される。リスクバランスは上向きになる。ただし、日本当局はいつ円買い介入に踏み切っても当然の環境にある。仮に介入が行われると5円程度の値幅が形成される可能性もある。押し目待ちの向きも多いため、仮に下げても瞬間的な値動きに留まりやすい。25〜26日には日本銀行金融政策会合が開催されるが、追加利上げについて踏み込んだメッセージが発せられることはないだろう。


サイコロジカルは、前週の8勝4敗から10勝2敗に。14日RSIは76.95。


今後1週間の予想レンジは、152.50〜156.00円。
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ユーロ/円相場
2024/04/23(火)
【ユーロ】  ECBの利下げ見通しが強い、ユーロの上値重い
ユーロ/円相場は、1ユーロ=164円台をコアにやや底固く推移する展開になった。欧州中央銀行(ECB)の利下げ着手の時期が近づいているとみられるが、対ドルでの急落地合が一服し、ユーロ/円相場も下値を支えられた。複数のECB当局者が年内利下げについて言及しているが、4月中旬の急ピッチなドル高・ユーロ安の反動もあり、対ドルでユーロが修正高になったことが、ユーロ/円相場も下支えした。年内利下げ幅については、ポルトガル中央銀行総裁が1.00%を超える可能性を指摘する一方、エストニア中央銀行総裁が6月に利下げを開始してもその後の利下げは急ぐべきではないと発言するなど、当局者の見通しは一致していない。しかし、少なくとも米国に先行して利下げサイクル入りするのは間違いない状況になっている。中東情勢を巡る混乱で一時的にユーロ/円相場が下落する場面も見られたが、影響は軽微だった。


4月23日に4月PMIが発表されるが、域内の経済活動がゆるやかな改善傾向にあるとの見方は維持されよう。ただし、ECBの利下げ着手の時期が近づいていることには変わりがなく、対ドルを中心にユーロの先高観を形成していくことは難しい。6月には高い確率で利下げが開始され、焦点は年内にどこまで金利水準を引き下げていくのかになっている。現状では複数回の利下げを織り込んでいく局面になり、ユーロ圏の金融政策環境からは対ドルを中心に上値の重い展開が想定される。165〜166円水準を上値目途に、162〜163円水準までの値下がりを打診しよう。


サイコロジカルは、前週の5勝7敗から6勝6敗に。14日RSIは56.68。


今後1週間の予想レンジは、162.50〜165.50円。
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豪ドル/円相場
2024/04/24(水)
【豪ドル】 中東情勢の消化一巡、高金利の買いに回帰
豪ドル/円相場は、1豪ドル=97.88円まで急落した後、100円台後半まで一気に切り返す展開になった。中東情勢の緊迫化を背景にリスクオフ化が進む中、3月19日以来の安値を更新した。イスラエルとイランの間で軍事的な緊張感が高まると、新興国通貨や資源国通貨が急落し、その流れの中で豪ドル相場も急落した。しかし、地政学リスクの緩和が進んだと評価されると一転して押し目買い優勢の展開になった。イスラエルとイランとの軍事的な緊張がピークを脱したと評価されている。こうした中、1〜3月期消費者物価指数は前期比1.0%上昇、前年比3.6%上昇となった。前年比では前期の4.1%上昇は下回ったが、市場予想3.5%上昇を上回っている。ディスインフレの遅れを受けて、年内利下げは困難との見方が強まったことはポジティブ。政策金利は4.35%だが、インフレ率が目標の2〜3%に回帰するのは2025年になる見通し。


中東情勢に起因したリスクオフ型の豪ドル売りは一服し、改めて地合を引き締めよう。世界的に利下げの議論が活発化しているが、豪中央銀行は当面の政策調整を織り込んでいく必要性が乏しい。米ドル/円相場の堅調地合もあり、豪ドル/円相場も底固い展開が続こう。米ドル/円市場で日本当局の円買い介入がみられると瞬間的に下振れする可能性を抱えるが、押し目買い優勢の地合は崩れない見通し。日本銀行が突然に積極的な利上げスタンスに転換する可能性も極めて低く、豪高金利政策が長期化することが、豪ドル/円相場を押し上げよう。年初来高値更新でチャート環境も強気に傾いている。99.50円水準を下値目途に101〜102円へのレンジ切り上げを打診しよう。


サイコロジカルは、前週9勝3敗から6勝6敗に。14日RSIは63.81。


今後1週間の予想レンジは、99.50〜102.00円。
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エマージング通貨相場(南アランド/円・トルコリラ/円・メキシコペソ/円)
2024/04/18(木)
【南アランド】 中東情勢警戒も強気のマクロ環境は維持
南アフリカランドは、1ランド=8.24円をピークに8.1円台前半まで調整売り優勢の展開になった。中東情勢が不安定化していることで、投資家のリスク選好性の後退が新興国通貨全体の上値を圧迫している。イランがイスラエルに対して報復攻撃に踏み切ったことで、今後の中東情勢の先読みが難しくなっている。投資家がリスク回避の動きを強めたことが調整売りを誘った。特に米利下げ先送り観測が強まる中、米長期金利・ドルがともに急伸したことで、対ドルでは売り圧力の強さが目立った。3月消費差者物価指数は前年比5.3%上昇と、前月の5.6%上昇から伸びが鈍化した。ただし、直ちに急激な利下げが想定されている訳ではなく、ランド相場に対する影響は限定された。


中東情勢に対する警戒が求められ、暫くは不安定な値動きが続こう。特に対ドルでは下値不安が維持される。ただし、ランド/円相場に関しては高金利通貨、産金国通貨、そして中国経済見通し改善で、押し目買い優勢の地合は崩れないだろう。目先は4月23日に南アフリカ中央銀行金融政策レビューが公表されるが、利下げを急がせるような内容にはならない見通し。8.0円水準を下値目途に、8.2円水準を打診しよう。押し目買い優勢の地合は崩れない見通し。


 今後1週間の予想レンジ 8.00〜8.25円/ランド
   過去1週間のレンジ 8.05〜8.21円/ランド
 
【トルコリラ】 地政学リスクが高まるも底固さを維持する
トルコリラは、1リラ=4.7円台で揉み合う展開になった。中東情勢緊迫化で投資家のリスク選好性が後退していること、米早期利下げ観測の後退で米長短金利が急伸したことで、対ドルでは上げ一服となった。ただし、トルコ金融政策の正常化期待を背景に押し目買いを入れる動きも強く、明確な方向性を打ち出せなかった。もともと、過熱感が強くなっていた訳ではなく、他新興国通貨と比較して中東情勢の緊迫化に冷静な対応を見せている。リラ/円相場も大きな動きを見せなかった。2月失業率は前月の9.0%から8.7%まで低下し、2月小売売上高は前月比3.5%増と前月の2.7%増に続いて強めの数値になった。


4月25日にトルコ中央銀行金融政策会合が開催される。トルコ中央銀行はインフレ対策に本腰を入れ始めており、実質金利のマイナス幅を縮小する動きに対する信頼感はポジティブ。中東情勢に混乱がみられると瞬間的に下押しされるリスクを抱えるが、パニック的なリスクオフ環境への移行がみられないのであれば、押し目での買い妙味は維持されよう。4.7円水準を下値目途に、4.8円水準を打診しよう。中東地政学リスクの値下がり局面では、物色妙味が維持される。


 今後1週間の予想レンジ  4.65〜4.80円/リラ
   過去1週間のレンジ  4.63〜4.77円/リラ
 
【メキシコペソ】 中東情勢警戒も押し目買い優勢
メキシコペソは、1ペソ=9.33円をピークに9.0円台まで軟化する展開になった。高金利通貨、産油国通貨として急ピッチな上昇が続いていたが、中東情勢の緊迫化を手掛りに利食い売りが膨らんだ。投資家のリスク選好性が後退したことで、いったんは利食い売りを入れたいとのニーズが強まった。米長短金利が急伸し、ドルが買われたことも新興国通貨の上値を圧迫した。原油市場で利食い売りが入った影響もあろう。メキシコペソ独自のネガティブ材料は乏しかったが、外部環境の悪化で対ドルを中心に調整売りが膨らんだ。


特に大きなイベントは予定されておらず、まずは中東情勢の見極めが求められる。仮にイスラレルがイランに対して反撃を行い、改めてリスクオフ傾向が強まると下値不安が強まる。ただし、両国が本格的な軍事衝突を志向しないのであれば、徐々に新興国通貨に対する影響は縮小していく見通し。地政学リスクの織り込みが一服すれば、政策金利11.00%が改めて評価されよう。メキシコも年内追加利下げが想定されるが、利下げを決めた3月会合では反対票があったことも確認されている。9.0円水準を下値目途に9.15〜9.30円水準回復を打診しよう。


 今後1週間の予想レンジ 8.95〜9.30円/ペソ
   過去1週間のレンジ 9.03〜9.33円/ペソ
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※ドル/円は月曜日、ユーロ/円は火曜日、豪ドル/円は水曜日、エマージング通貨は木曜日に更新予定。
休日の際は、更新をお休み致します。
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