コモディティ・金融情報専門サイト asumiru.com |
大起証券FX週報
ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円 エマージング通貨(南アランド/円・トルコリラ/円)
※全レポートおよびファイルの無断転載を固く禁じます。
ドル/円相場 |
2025/06/09(月) |
【米ドル】 米CPIに注目も、売買交錯気味の展開が続く |
米ドル/円相場は、1ドル=142〜144円水準で売買が交錯した後、一時145円を突破する展開になった。通商環境、米実体経済のリスク評価が目まぐるしく変化しており、明確な方向性を打ち出せていない。トランプ米大統領は鉄鋼とアルミの輸入関税を予定通りに発動し、米経済に大きな混乱が生じるのは必至の状況にある。一方で、6月5日には米中首脳の電話会談が行われ、通商協議を進める基本方針が確認されている。このため、米中関係の改善期待が下値を支えるが、高いレベルの先行き不透明感から米長期金利と同様にドルも不安定な値動きになった。6日には5月米雇用統計が発表されたが、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ期待を高めるようなことはなく、米金利上昇・ドル高が促されたことはポジティブ。 通商リスクを背景としたドル安に一服感が強まる一方、改めてドル買い・円売りを仕掛ける動きが本格化するほどにマーケット環境は安定化せず、ドル/円相場は最近の売買交錯気味の展開が踏襲される可能性が高い。9日にロンドンで米中通商協議が予定されている。両国政府高官の出席が予定されているが、前回の会合で関税の大幅引き下げが合意されたのと同様の進展がみられると、株高連動でドル/円相場も145円の節目を完全に上抜く可能性がある。また、11日には5月米消費者物価指数が発表されるため、強めのインフレ指標が発表された際にも、米金利上昇・ドル高圧力が強まる可能性がある。ただし、通商リスクと景気リスクの先行き不透明感は依然として高いレベルにあり、短期間にトレンドが入れ替わる不安定な地合が続く見通し。米中通商協議に大きな進展がみられれば147円水準が打診されるが、トランプ大統領が何か緊張感を高める発言を行うと、142円台まで軟化するリスクを抱えている。現行価格水準で売買が交錯しよう。トレンド形成に向けて決定打を欠く。 サイコロジカルは、前週の4勝8敗から6勝6敗に。14日RSIは51.42。 今後1週間の予想レンジは、142.00〜147.00円。 |
![]() |
ユーロ/円相場 |
2025/06/10(火) |
【ユーロ】 ECBの利下げは終了、財政出動拡大への期待 |
ユーロ/円相場は、1ユーロ=163円台で揉み合う展開を経て、165円水準まで値上がりする展開になった。対ドルでの値動きが中心とあってユーロ/円相場は方向性を欠く展開が続いていたが、通商リスクの軽減期待を背景に投資家のリスク選好性が高まると、株高連動で若干の値上がりが促された。6月5日に米中首脳が電話会談を実施し、9日には政府高官の通商協議も行われている。10日に継続協議になっているが、米中関係の改善期待がユーロ/円相場を支援した。欧州中央銀行(ECB)はは6月5日の金融政策会合で、政策金利を0.25%引き下げた。7会合連続の利下げになる。ただし、ラガルド総裁は「金融政策の周期としては終わりが近づいている」として、当面の利下げ対応は終了した可能性を示唆している。目先は様子見を選択する見通し。最新の経済見通しでは、2025年の成長見通しが0.9%で据え置く一方、インフレ見通しは0.3%引き下げて2.0%とした。 通商環境に強く左右されるが、改めて通商リスクを大きく織り込む動きが見送られると、ドル/円相場との連動で底固く推移しよう。トランプ米大統領の動向次第で地合は一変する可能性もあるが、下値は固まりつつある。また、北大西洋条約機構(NATO)が軍事費拡大で合意するとの見方もポジティブ。軍事支出拡大による景気下支え効果への期待感が強くなっている。ドイツでは法人税減税法案も閣議決定され、歳出拡大への期待感が強くなっている。しかも、このタイミングでECBの利下げは終わった可能性が高い。複数の当局者が当面の追加利下げは見送ることをする発言を行っている。165円の節目を上抜くと、167.00円水準まで上値切り上げを打診する可能性がある。 サイコロジカルは、前週の7勝5敗から9勝3敗に。14日RSIは61.97。 今後1週間の予想レンジは、163.00〜167.00円。 |
![]() |
豪ドル/円相場 |
2025/06/11(水) |
【豪ドル】 リスク投資のセンチメントに依存する |
豪ドル/円相場は、1豪ドル=92〜93円水準で売買が交錯した後、94円台前半まで上昇する展開になった。米中通商環境の改善期待を背景に、底固く推移した。6月5日に米中首脳の電話会談が行われたが、9日と10日に政府高官協議が行われ、5月のジュネーブ合意の枠組みを実行することで暫定合意に達した。詳細はまだ明らかにされていないが、中国のレアメタル輸出規制の緩和などで、一定の前進が見られた模様だ。これで直ちに米中経済見通しが改善する訳ではないが、投資家のリスク選好性が高まったことが、豪ドル相場の上昇につながった。豪ドルの独自材料としては、1〜3月期国内総生産(GDP)が前期比0.2%増、前年同期比1.3%増となったが、豪ドル相場に対する影響は限定された。 目先は大きなイベントはなく、リスク投資のセンチメントに強く左右される展開が続く見通し。米中通商協議は無難に消化されており、このまま通商環境の改善期待が世界的な株価上昇を促すと、豪ドル/円相場もじり高の展開になりやすい。5月高値95.51円を意識した展開になろう。ただし、トランプ米政権が各国に対して大規模な関税策を展開していること、世界経済の減速傾向が徐々に強くなっていることに変化は生じていない。通商リスクを蒸し返すような動きがみられ、投資家のリスク選好性が後退すれば、92〜93円円水準まで下押しされるリスクを抱えている。リスク投資全体の地合をみながら、短期トレンドを探る展開が続く見通し。 サイコロジカルは、前週の6勝6敗から9勝3敗に。14日RSIは62.27。 今後1週間の予想レンジは、92.50〜96.00円。 |
![]() |
エマージング通貨相場(南アランド/円・トルコリラ/円・メキシコペソ/円) |
2025/06/12(木) |
【南アランド】 リスクオン環境だと底固い |
南アフリカランドは、1ランド=8円水準でも保ち合いを経て、8.1円台まで小幅値上がりする展開になった。米中両国の通商協議で進展がみられたことで、投資家のリスク選好性が高まったことが、ランド相場を押し上げた。米中両国は5月に合意された枠組みを再確認している。中国のレアアース輸出規制の一時解除など緊張緩和を促す動きが報告されていることが、ランド相場を下支えした。一方、6月はプラチナ相場が高騰している。南アフリカ鉱業セクターにはポジティブな動きだが、ランド相場に対する影響は限定されている。東ケープ州で大規模な洪水被害が発生しているが、こちらもランド相場への影響は軽微。 リスク投資のセンチメントに強く左右される。米中通商協議が再開されており、通商リスク軽減期待が株価を下支えしている間は、ランド相場も下げ一服感が維持されやすい。トランプ米大統領の動向によって地合が急変する可能性もあるが、米中両国からポジティブなメッセージが出される状態が続けば、8.2〜8.3円水準が意識される。6月18日に5月消費者物価指数が発表されるが、インフレ環境は落ち着きをみせており、南アフリカ金融政策に対する影響は軽微とみられる。 今後1週間の予想レンジ 8.00〜8.30円/ランド 過去1週間のレンジ 7.98〜8.21円/ランド |
【トルコリラ】 じり安傾向が続きやすい |
トルコリラは、1リラ=3.6円台後半をコアに小動きに終始した。米中通商環境の改善期待が新興国通貨全体を下支えしているが、リラ相場に対する影響は限定的だった。対円と対ドルの双方で値動きは限定された。特に目を引く売買材料も見当たらず、持高調整に終始している。大きく売りこむような動きも、逆に買い進むような動きもみられなかった。特に注目度の高い経済指標の発表もなかった。 6月19日にトルコ中央銀行金融政策会合が開催される。直近の5月消費者物価指数は前年比35.41%上昇と4月の37.86%から伸びが鈍化したことで、追加利下げが決定される可能性がある。仮に追加利下げが見送られたとしても、近く追加利下げに踏み切る可能性が示唆される見通し。通貨環境が落ちつきをみせていることもあり、景気対欧の利下げが正当化できる環境にある。ただし、リラ相場はトルコ金融政策から殆ど影響を受けない傾向が強く、このまま最近の横ばいからじり安の展開が維持される見通し。6月16日に4月小売売上高が発表されることがイベントリスクになる。 今後1週間の予想レンジ 3.55〜3.75円/リラ 過去1週間のレンジ 3.61〜3.72円/リラ |
【メキシコペソ】 インフレは上振れ、リスクオンだと底固い |
メキシコペソは、1ペソ=7.4円台での保ち合いを経て、7.6円水準まで値上がりする展開になった。米中通商協議の進展を受けて、投資家のリスク選好性が高まったことが、ペソ相場の上昇に直結した。6月9日と10日に米中通商協議が行われ、5月合意の枠組みを確認している。中国のレアアース輸出規制の緩和など緊張緩和を促す動きが新興国通貨全体を支援している。6月9日に発表された5月消費者物価指数は前年比4.42%上昇となり、前月の3.93%上昇から上振れした。中央銀行の目標レンジ(3±1%)の上限を上回っており、今後の金融政策対応に不透明感が増している。インフレ対応で追加利下げが困難との見方もあるが、コア部部門は大きな問題は認められない。 利下げ対して一定の慎重姿勢が求められる環境になっていることは、高金利通貨としてはポジティブ。利下げサイクルを否定するには至らない模様だが。次回利下げは0.25%など小幅に留まる可能性が高まっている。ペソ相場はリスク投資のセンチメントに強く依存するため、通商環境について楽観的な見通しが維持されている間は、7.7円台にレンジを切り上げる可能性がある。6月18日に1〜3月期国内総生産(GDP)が発表されることがイベントリスクになる。 今後1週間の予想レンジ 7.50〜7.80円/ペソ 過去1週間のレンジ 7.42〜7.67円/ペソ |
![]() |

※ドル/円は月曜日、ユーロ/円は火曜日、豪ドル/円は水曜日、エマージング通貨は木曜日に更新予定。 休日の際は、更新をお休み致します。 ※PDF版の閲覧にはAdobe Readerのインストールが必要です。 ※レポート内容に関してのご質問等にはお答えできませんのでご了承ください。 ※全レポートおよびファイルの無断転載を固く禁じます。 |